少年事件における弁護士付添人について

日弁連が全面的国選付添人制度の実現の運動をしている。

http://www.nichibenren.or.jp/activity/human/tsukisoi.html

上記HP記事によれば

 少年事件で家庭裁判所の少年審判を受ける少年に、国費で弁護士を付ける制度を国選付添人制度というが、現行の国選付添人制度は、対象事件を重大事件(殺人、強盗等)に限定しているため、2009年に選任された国選付添人はわずか516人であり、少年鑑別所に収容された少年11,241人の4.6%にすぎない。

 他方で、2009年5月21日以降、捜査段階の被疑者国選弁護制度が拡大され、窃盗や傷害等の事件についても国選弁護人を選任できるようになった。しかしながら、家裁送致後には、国選付添人の対象事件が限定されたままであるため、その国選弁護人が引き続き国選付添人として活動できない、という矛盾が生じている。

 そこで、日弁連では、国選付添人制度の対象外の事件であっても、資力のない少年が弁護士付添人を選任できるようにするため、少年保護事件付添援助制度を作り、すべての事件について、弁護士費用を援助するというのだ。

 

 弁護士会の会費からすなわち弁護士が自ら費用を出して少年のために尽くすのであるから結構なことだ。 

 ところが実際にその担い手となる弁護士とくに支部所属の弁護士の間ではこの制度はきわめて負担が大きい。少年鑑別所は普通県庁所在地にあるが、支部の弁護士が少年鑑別所に観護されている少年と面会するのは半日仕事になるからだ。選任されてからすぐに面会に行き、通常4週間以内に開かれる審判までに数回の面会というのはとても負担が大きい。それ以外にも事件記録の閲覧、被害者との示談交渉、保護者や裁判官や調査官とのとの面会・打ち合わせがあり、日弁連が援助する弁護士費用の低廉さと相まって、確実に赤字事件となる。

 

 弁護士付添人の選任は少年でも保護者でもいいが、少年が弁護士を付添人に選任し少年保護事件援助制度を申し込むと確実に費用は免除となるので、少年保護事件援助制度を使った場合通常付添人の選任は少年がすることになる。

 保護者は警察から弁護士付添人は必要的ではないと説明を受けていたりするので、少年から選任された弁護士付添人は保護者からは「押しかけ」のように思われたりすることもある。少年の信頼は得られても保護者からこのように思われると被害者との示談交渉はまず出来ない。実際は押しかけではなく(日弁連からの)押しつけなんだが・・・・・

 

 なんやかんやで悩みつつ今年は少年保護事件援助制度を使った少年付添人を4件担当した。特に12月は2件もあたり、非常に疲れた。

 だが、これも弁護士としての社会奉仕。少年事件は来年も続けていこう。