労働者が労働災害により被った損害を回復するのは、まず労災保険給付が考えられますが、それだけでは不十分です。
足らざる部分は被災労働者又はその遺族が使用者に対して損害賠償請求をすることによって被害回復をする必要があります。
使用者に対する損害賠償請求が可能となるのは使用者に安全配慮義務違反がある場合ですが、その有無はケースバイケースの判断ですので、個別具体的事案で弁護士に相談して下さい。
下請企業の労働者が労働災害で被災し使用者である下請企業に安全配慮義務違反が認められる場合には被災労働者は下請企業に損害賠償請求をすることができます。しかし、下請企業の資力が乏しい場合は被災労働者の損害賠償請求権が絵に描いた餅となってしまいます。
下請企業の被災労働者は元請企業に対して損害賠償請求をすることができないのが原則です。しかし、判例によれば元請企業と下請労働者間の「実質的な使用関係」あるいは「直接的または間接的指揮監督関係」が認められる場合には、元請企業の下請労働者に対する安全配慮義務を認めて、労災民事賠償責任が認める場合が多いようです。
「実質的な使用関係」あるいは「直接的または間接的指揮監督関係」が認められるかどうかはケースバイケースの判断となりますので、個別具体的事案で弁護士に相談して下さい。